映画「加藤隼戦闘隊」は制作に当たって陸軍が全面協力し、情報局選定の国策映画となりました。もちろん国民の戦意高揚から戦争遂行に繋げるための映画です。戦隊長の加藤建夫中佐は既に戦死して二階級特進、軍神としてその卓越した戦果や指導力、人格の神格化が図られました。
元々、軍神とは人間が戦勝祈願をするための神様を対象に指した言葉なのですが、時の体制支配側つまり軍部は軍神を作りたがるようです。特に日本陸軍は「軍神」という言葉が大好きでしたから、海軍に比べて軍神という言葉を濫用しました。
ある本で読みましたが、戦前の教科書に出ていた日清戦争で「死んでもラッパを離さなかったラッパ手」は実は二人いて、陸軍省の発表と、後に教科書に取り上げた文部省の発表と違っていてそこに確執があったという話です。
軍神など関係なく、戦死された方に哀悼の意を表したいと思うだけです。加藤隼戦闘隊の加藤建夫中佐は卓越した軍人であったことは間違いないのですが、少なくともまた軍神を作り出さなければならない時代にならないように祈ります。小生は戦争には絶対に反対です。でも、もしもですが、デジタル時代の軍神像は一体どうなるのでしょうか?
